スペインワインといえば、品質、生産量ともに知名度ナンバーワン

なのが
リオハ地方。
ビルバオから車で 1 時間半くらいのところにあり、
ラ・リオハ州、
バスク州アラバ県、
ナバーラ州の 3 つのエリアにまたがっている広大な地域です。
ぶどう栽培総面積は 61,000 ㏊ で、豊作の年の生産量は約 30 万キロリットルともいわれています。
で、そのうちの約 75 % が赤ワインなんだそうです。
一口にリオハワインといっても、大きくは、
リオハ・アルタリオハ・バハアラベサという 3 つの地域に分かれています。
ま、僕もワインの専門家ではなくただの受け売りですが、ちょっと簡単に解説しておくと...
リオハ・アラベサは標高 700m 近くともっとも高地にあり、冷涼な地域で、土壌は石灰質や粘土質を多く含んでいます。
色が濃くて 香りは強く、酸度が低いのにフルーティーなのが特徴です。
赤ワイン用のブドウは、スペインワインを代表する
テンプラニーニョが主流です。
リオハ・アルタは標高 440m ほど。
土壌は、鉄分の多い粘土質のものと、河川による堆積土の 2 種類あり、それぞれの特徴がぶどうによく表れています。
そのため、ブドウの品種は
テンプラニーニョと、
ガルナッチャの両方がそれぞれの土壌に合わせて作り分けされています。
アラベサ産よりも色、コク、香りとも若干弱いワインとなりますが、酸味はより強く、長期熟成に向いているそうです。
リオハ・バハ地方は、他の 2 地域が西岸海洋性であるのに対し、地中海性気候ということで、気温は若干高め、降水量も少なめというのが特徴です。
標高も他より若干低めの、300m 前後。
この鉄分の多い赤土で生産される赤ワインはアルコール度が若干高いけれども、酸味はマイルドという特性を持っています。
そのため
他の 2 地域のワインとブレンドするのによく使われています。
ブドウは
ガルナッチャが主流のようです。
リオハワインは、スペインワインのカテゴリーの中でも最高峰の
DOC の称号を 1991 年に初めて取りました

そして、2009 年の表記改正では、カタロニアワインのプリオラートとともに、これまた最高峰の
DOCa の称号を持っています

歴史的にみると、このエリアではローマ人がやってくる前からワインが生産されていたんですが、イスラムの征服以降一時的にワインづくりは中断されていました。
しかし、レコンキスタで再びカトリックの地になると、徐々にワインづくりが復活し、またこの地がサンチアゴの巡礼街道上に位置していたということもあって、巡礼者によってリオハのワインの評判が各地に広まっていきました。
19 世紀に入ると、フィロキセラという害虫の影響で、フランスはボルドーのワイン畑が壊滅的な被害を受け、ボルドーのワイン職人たちが大挙してこのリオハにやってきました。
そのおかげで、近代的なボルドーのワインづくりがこの地に定着し、より品質が上がっていったって経緯があります。
そんなスペインワインの代名詞的存在であるリオハ・ワイン。
今回訪れたワイナリーは、その中でも歴史的にもとても重要な、
Marques de Riscal に行ってきました


ちょっと前置きが長くなりましたけどね

このワイナリーは、1858 年にリスカル侯爵によって、設立されました。
侯爵はフランス産のぶどうの木を移植し、伝統的なリオハのワイン製造法も、フランスの最新式製造法に改革しました。
1868 年にフランス人技術者ジャン・ピノーを技術チームに招き入れて以来、リスカル社の赤ワインは、その品質の高さゆえ、広く市場に知られるようになり、1876 年にはブリュッセル展示会で金メダル、1929 年にはバルセロナ国際展示会でグランプリ賞とたくさんの賞を獲得しています。
現在は、
スペイン王室御用達のワインとして、王室にも献上されています。
ここが世界的に有名になったのは、もちろん王室御用達ワインだということもあるんですが、2006 年に完成したこの建物ですね。
ビルバオのグッゲンハイム美術館を設計した、フランク・O・ゲーリーがデザインしたホテルです。
何となく奇抜な感じなんですけどね。
ワイナリーと併せて、この建物を見ようと。
また泊まろうと。
それに、ここには 1 つ星レストランもあるので、食事をしようと。
そんな方々がよく訪れるみたいですよ

ちなみにこの建物のカラーは、赤・黄色・シルバーで、赤は赤ワインの色、黄色はレゼルバのワインにかかってる金の網の色、シルバーはボトルキャップの色...をイメージしたそうです

僕もこの中をちょっと写真撮ってみたかったのですが、ワイナリー見学とテイスティング、お買い物の通訳で忙しくてちょっと立ち寄ってる暇がなかったです...

次回のお楽しみですね

そんなわけで、フロントで受付をしてからワイナリーの専属ガイドさんとともにツアーの開始

まずは畑を見た後、
発酵樽。
発酵樽に入れる前に、摘み取ったブドウを 4 ℃の低温貯蔵庫に入れて 24 時間置いておくそうです。
ちなみにブドウの木は、樹齢 15 〜 70 年くらいまでのを使うそうです。
そしてプレスして発酵樽へ。
グランレゼルバはすべて木製の発酵樽を使っています。
そして発酵中に、1 日 3 〜 4 回、ルモンタージュ
( 樽の下からワインを抜いて上に入れるというかき混ぜ法 ) を行います。
発酵が終わったら、また違う木の樽に移し替え、マロラクティク発酵 ( 乳酸発酵 ) を行います。
そして、樽に入れて熟成させます。
熟成樽は、グランレゼルバはフレンチオークの新樽。
レゼルバ、クリアンサは、フレンチオークの 2 〜 5 年ものとアメリカンオークの樽を使っているそうです。
そしてボトルに詰める...
と、簡単に言えばこんな感じです。
ツアーの途中で、動画
🎥 で一連の作業を見せてくれるんですが、これがまたわかりやすいんですよ。
通常、リオハワインの法定熟成期間は、
CRIANZA ( クリアンサ )赤ワイン ・・・ 24 カ月以上 うち樽熟成が 6 カ月以上
白ワイン ・・・ 18 カ月以上 うち樽熟成が 6 カ月以上
RESERVA ( レゼルバ )赤ワイン ・・・ 36 カ月以上 うち樽熟成が 12 カ月以上
白ワイン ・・・ 24 カ月以上 うち樽熟成が 6 カ月以上
GRAN RESERVA ( グランレゼルバ )赤ワイン ・・・ 60 カ月以上 うち樽熟成が 18 カ月以上
白ワイン ・・・ 48 カ月以上 うち樽熟成が 6 カ月以上
と決められています。
でも、この会社のワインは社内規定で、
もうちょっと長めに設定しているそうです。
というわけで、
テイスティング 

まずは白ワイン。
白はリオハエリアではなく、同じくマルケス・デ・リスカル社が持っている
ルエダ地方の畑のもので、
ヴェルデホ種のブドウを使ったものです。
すっきりとした飲みごたえで、しっかりとした味なんですが、ぐいぐい飲めるんですよね。
って、
ただの飲んべぇなのかな?通訳してしゃべりまくった後だったので、余計においしく感じたのかもしれませんね

続いてはここの主力である、
MARQUÉS DE RISCAL RESERVA 2011ボトルに金の網がはってあるのが特徴です。
樽・ボトル熟成合わせて 5 年という、グランレゼルバに匹敵するくらいの熟成期間を経て世に送り出されるワインは、とてもまろやかでいい香りがしていました。
テンプラニーリョ、グラシアーノ、マスエロの 3 種ブレンドのワインは、複雑な口当たりが特徴です。
それが長期熟成でうまく絡み合ってるんですね

というわけで、なかなか珍しいリオハワインの工場見学でした

ちなみに、スペインワインで、DOCa の格付けをとるには、100 % 固有種のブドウを使用しなければならないんですが、このワイナリーだけ例外中の例外で、フランスのカベルネ・ソーヴィニヨンを使用してもいいことになっているんです。
これのブレンドしたワインも今度機会があったら飲んでみたいなぁ...


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